言い換えると、スピロテロール(スピロペント)は尿もれを治療することもできる喘息治療薬となります。

スピロテロール(スピロペント)の特徴スピロテロール(スピロペント)には、2つの特徴があります。

■喘息発作を予防
■尿もれを改善

スピロテロール(スピロペント)は"LABA(長時間作用型β2受容体刺激薬)"に分類される薬です。
1回服用すると35時間もの長時間にわたって効果を発揮し続けることから、喘息発作を予防するために使用されます。
ただし発作が起きてしまった場合には、サルタノールなどの素早く効く喘息治療薬が必要となります。
またスピロテロール(スピロペント)は、喘息治療薬としては珍しく尿もれの治療に使われることもある薬となります。

スピロテロール(スピロペント)の効果・効能喘息の患者さんは気道に炎症が起こり、空気の通り道が狭くなってしまうため呼吸が苦しくなります。
そのため喘息の症状を改善し呼吸をラクにするためには、気道を拡げる必要があります。

気道を拡げるために重要になるのが、体内の"β2受容体"と呼ばれる器官です。
例えばからだを動かす時など、より多くの空気が必要になるためβ2受容体が刺激されて気道が拡がります。
スピロテロール(スピロペント)には同じようにβ2受容体を刺激し、気道を拡げる作用があります。

またβ2受容体は膀胱の筋肉にも存在し、刺激されると筋肉を緩める働きがあります。
膀胱の筋肉が緩むと、より多くの尿を膀胱に溜められるようになります。

このようにβ2受容体を刺激することで喘息や尿もれなどを改善する薬が、スピロテロール(スピロペント)となります。

服用方法・使用方法

スピロテロール(スピロペント)の服用方法は、次のようになります。

■喘息、COPD

成人(通常):20mcgを1日2回、朝と就寝前に服用

成人(頓用):1回20mcgを服用

小児(通常):0.3mcg/kgを1日2回、朝と就寝前に服用

小児(頓用):1回0.3mcg/kgを服用

スピロテロール(スピロペント)は1錠が40mcgになるため、ピルカッターで用量を調節しながら服用して下さい。
なお年齢や症状により適宜増減します。
また頓用(発作が起きた時に服用すること)が多い場合は、すぐに医師の指示を受けるようにして下さい。

■腹圧性尿失禁

20mcgを1日2回、朝と夕方に服用

スピロテロール(スピロペント)は1錠が40mcgになるため、ピルカッターで用量を調節しながら服用して下さい。
なお年齢や症状により適宜増減しますが、1日60mcgが上限となります。

スピロテロール(スピロペント)の注意点■単独で服用しない
気管支喘息の治療における長期管理の基本は、吸入ステロイド薬などの抗炎症薬を使用することです。
スピロテロール(スピロペント)は次のような場合にのみ、吸入ステロイド薬などを併用しながら服用して下さい。

吸入ステロイド薬などで症状が改善されない場合
患者さんの重症度から吸入ステロイド薬などとの併用が適切と判断された場合

またスピロテロール(スピロペント)は吸入ステロイド薬などの抗炎症剤の代替薬ではありません。
スピロテロール(スピロペント)の服用により症状が改善された場合でも、独断で吸入ステロイド薬などを減量・中止し、スピロテロール(スピロペント)を単独で服用しないように注意して下さい。
■急性の発作に注意
気管支喘息治療の長期管理において、スピロテロール(スピロペント)の服用中に現れる急性の発作にはSABA(短時間作動型吸入β2刺激薬)などの適切な薬を使用して下さい。
またそれらの薬の使用量が増加したり、効果が得られなくなってきた場合には喘息の管理が十分出ない可能性が考えらるのですぐに医療機関を受診して下さい。
またそのような状態では生命を脅かす可能性があるので、吸入ステロイド薬などの増量など、抗炎症療法の強化をおこなって下さい。
■効果が得られない場合
用法・用量通りに服用しても効果が得られない場合は、スピロテロール(スピロペント)が適当ではないと考えられるので服用を中止して下さい。
なお小児が服用する場合は服用方法を正しく指導し、経過の観察を十分におこなって下さい。
■心停止に注意
スピロテロール(スピロペント)を過度に服用した場合は不整脈、場合によっては心停止を起こす恐れがあるので飲み過ぎないように注意して下さい。
■頓用が続く場合
スピロテロール(スピロペント)の頓用が続く場合、すぐに医師の指示を受けるようにして下さい。
■腹圧性尿失禁以外には服用しないこと
スピロテロール(スピロペント)は、腹圧性以外の原因による尿失禁には用いらないこととされています。

副作用

スピロテロール(スピロペント)の副作用は、次の通りになります。

過敏症	頻度0.1～5%未満	発疹
過敏症	頻度0.1%未満	そう痒

精神神経系	頻度5%以上	振戦
	頻度0.1～5%未満	筋痙直、頭痛
	頻度0.1%未満	四肢のしびれ感、興奮、不眠、めまい、眠気

循環器	頻度0.1～5%未満	動悸
循環器	頻度0.1%未満	頻脈、不整脈、血圧上昇

消化器	頻度0.1～5%未満	嘔気
消化器	頻度0.1%未満	食欲不振、腹痛、下痢、便秘、口の渇き、胸やけ

肝臓	頻度0.1%未満	AST(GOT)、ALT(GPT)上昇

泌尿器	頻度0.1%未満	排尿障害

その他	頻度0.1%未満	全身けん怠感、浮腫(むくみ)、ほてり

※赤文字の症状が現れた場合、スピロテロール(スピロペント)の服用を中止して下さい。

重い副作用症状

低カリウム血症	筋力の低下、筋肉痛、悪心、嘔吐、便秘、けいれん、不安、イライラ、抑うつ

注意点

スピロテロール(スピロペント)の併用禁忌薬は、特にありません。

スピロテロール(スピロペント)を服用できない方■下部尿路が閉塞している患者さん
■スピロテロール(スピロペント)の成分クレンブテロール塩酸塩に過敏症(アレルギー)の既往歴のある患者さん

スピロテロール(スピロペント)を服用できない方■カテンコールアミン製剤
併用により不整脈、場合によっては心停止を起こす恐れがあります。
副作用に注意し、異常があった場合は減量または服用を中止するなど適切な処置をおこなって下さい。