ミノキシジルとは
ミノキシジル(Minoxidil)とは
ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)の治療に用いられる有効成分です。
この成分を含有するAGA治療薬が、数多く開発されています。
ミノキシジルには、毛根の根本にある毛母細胞という部位に作用し、細胞分裂を活発化させる効果があります。
毛母細胞の細胞分裂が活発化すると髪の成長が促進し、AGAによって薄く短くなった髪がAGAを発症する前と同じように成長し始めます。
フィナステリド、デュタステリドといった髪の成長サイクルを正常な状態に戻すAGA治療薬と異なり、髪の成長力を高めることで成長サイクルを回復させるというのがミノキシジルの効果です。
ここでは、そんなミノキシジルの具体的な効果、また副作用について詳しく解説しています。
ミノキシジルを配合するAGA治療薬、正しい使い方なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルには、
①髪の成長サイクルの改善
②成長の促進
以上2つの効果があります。
AGA(男性型脱毛症)を発症すると、男性ホルモンの変異体であるDHT(ジヒドロテストステロン)の作用によって、髪の成長サイクルが大幅に短縮されます。
具体的には、成長期、退行期、休止期のうち特に成長期が短縮されてしまいます。
髪は本来、新しく生えてから2~6年の成長期を過ごした後、退行期を迎えて成長がストップし、3~4ヶ月ほどの休止期を迎えたあとで抜け、新しい髪が下から生えてくる……というふうに、規則正しい周期になっています。
しかし、AGAを発症すると成長期が1年、もしくは数ヶ月となってしまい、髪が生え始めてからすぐに退行期がやってくるようになります。
それによって、本来であれば何年もの時間をかけて長く成長するはずの髪がすぐに抜け落ち、その後、髪が生えてくるのにも時間がかかり、生えた後もすぐに抜ける、という負の連鎖が起こります。
成長サイクルが短くなることによって、本来であれば成長の過程で太くなる髪が細い状態で抜けるようになるため、全体的に薄く見えてしまうというのもAGAの特徴です。
ミノキシジルを使用すると、冒頭に挙げた2つの効果によってAGAを解消します。
その効果の根幹を担うのは、ミノキシジルに備わっている血行促進効果です。
血流が改善され、血液が流れやすい環境が作られると、毛根やそのまわりを覆う毛包に繋がる毛細血管の中を、多くの血液が流れるようになります。
血液が流れると、血液中に含まれる栄養素がたっぷりと行きわたり、これを吸収して毛母細胞が細胞分裂を始め、毛髪の成長速度が上昇します。
また、ミノキシジルは血行を改善するだけでなく、毛包に存在する毛乳頭細胞を刺激する働きがあります。
毛乳頭細胞が刺激されると、髪の毛の内部にある毛母細胞が活発に細胞分裂を始め、毛包自体が成長を始めます。
毛包は頭髪を支え、その成長を促します。
その結果、髪の毛が太く健康的なものになっていくのです。
剤形によって強さが違う
ミノキシジルを配合した医薬品には外用薬と内服薬、2種類の医薬品が存在しています。
これら2種類の医薬品は使用方法が違っており、異なる特徴を持っています。
外用薬は頭皮に直接薬液を塗布するミノキシジル配合の育毛剤です。
一方、内服薬はミノキシジルタブレットと呼ばれる錠剤タイプの製品で、水やぬるま湯で経口摂取します。
ミノキシジルの外用薬と内服薬は、それぞれ異なる特徴を持っています。
外用薬は皮膚から吸収させるため、内服薬のように直接体の内側から効果が現れるものと比べて効きが弱いという難点があります。
しかしその分、ミノキシジルの使用によって発生する副作用が少なく、安全に使用できるという特徴があります。
一方の内服薬は、錠剤を飲むだけなので手軽に服用でき、また体の内側から効果を発揮するため、外用薬よりもさらに強い効果を実感できるようになっています。
しかし服用時に発生する副作用が外用薬と比べて強くなりがちであるため、その点には注意する必要があるといえます。
AGAの進行具合や体質に合わせて選ぶべきといえるでしょう。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルを使用した際に発生する副作用は外用薬と内服薬で共通するものと、それぞれに独自のものがあります。
外用薬を使用した際に発生する副作用は、以下のような症状です。
- 初期脱毛
- 多毛症
- 頭皮の痒み、湿疹、ふけ
- 立ちくらみやめまい
- 動悸
- むくみ
次に内服薬の使用で発生する副作用は以下のような症状になります。
- 初期脱毛
- 多毛症
- むくみ
- 低血圧
- 肝機能障害
- 動悸
- 立ちくらみやめまい
以上のように、「共通する副作用」は初期脱毛、多毛症、むくみ、立ちくらみやめまい、動悸といったもの。
ミノキシジルが身体に吸収されると血管が拡張し、急激な血液流入量の増加から立ちくらみやめまい、むくみ、動悸といった症状が現れます。
またミノキシジルが頭皮以外の部位にも影響を及ぼすことで、多毛症が発生します。
一方、独自の副作用を比較した場合、外用薬は多少の皮膚症状が現れる程度ですが、内服薬は肝機能障害や低血圧といった危険な副作用の可能性があることがわかります。
これらの症状は、内服薬に含まれるミノキシジルが全身に行きわたりやすいということから起こる可能性があるものです。
たとえば、吸収したミノキシジルを分解する過程で肝臓に過剰な負荷がかかり、肝機能障害を発症する場合があります。
ちなみに、むくみや低血圧は利尿剤を併用することによってリスクを回避することが可能です。
ミノキシジルによってむくみや低血圧が起こるのは、血管が広がって血圧が下がり、体内の水分や塩分が排出されづらくなるからです。
結果的に体調が悪くなるレベルで低血圧になったり、余分な水分や塩分で体がむくんでしまうことになります。
体内の水分、そして一緒に塩分も尿と一緒に積極的に排出できる利尿剤を飲むことで、このような問題を解決することができます。
ミノキシジルを含む医薬品
ミノキシジルを有効成分として含有する代表的なAGA治療薬には、「ロゲイン」「ロニテン」という製品が挙げられます。
それぞれ外用薬、内服薬として製造・販売され、使用されている医薬品です。
外用薬と内服薬の特徴についてはそれぞれすでに述べた通りで、「より強い効果を得たいときには内服薬を、副作用が気になるという場合はまずは外用薬を」という使い方をするのがおすすめです。
ここでは、そんなロゲインとロニテンについて、それぞれより詳しく解説しています。
ロゲイン
「ロゲイン」は、ミノキシジル製剤の中でも特に外用薬として販売されているミノキシジル配合の発毛剤です。
アメリカの製薬会社、ファイザーが製造を担っており(現在はマクニール)、FDA(食品医薬品局)による認可を受けています。
高い安全性のもと、優れた発毛効果が期待できると世界で初めて認定を受けた製品です。
日本国内では、大正製薬から「リアップ」。
そして2018年に新たに発売が開始されてアンファーの「ミノキ5」が発売されています。
ロニテン
「ロニテン」は、ロゲインと同じくアメリカの製薬会社ファイザーによって開発された医薬品であり、有効成分もロゲインと同じミノキシジル。
しかし、薬の形状としては錠剤タイプの内服薬であるという違いがあります。
すでに書いているように外用薬よりも強い効果を発揮するところが特徴ですが、体毛が濃くなったり肝臓に負荷をかけたりといった点には注意する必要があります
。
特に、肝臓が弱いという方は慎重に使用する必要があります。
ロニテンの詳細はこちら
※リンク先の商品はジェネリック医薬品です
ミノキシジルのジェネリック
ミノキシジルを有効成分として使用した医薬品には、ロゲインやロニテンといった「先発薬」とは別に、「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものがあります。
ジェネリックとは、別名「後発医薬品」と呼ばれています。
先発薬を開発したのとは別のメーカーが、同じ有効成分を使って製造する医薬品のことを指します。
先発薬よりもコストをかけずに製造されているというのが大きな特徴で、その分だけ価格も安く抑えられています。
あまりお金をかけずにAGA治療を進めていきたいという場合には、ジェネリックを選ぶべきといえるでしょう。
ツゲイン
ツゲインは、インドのシプラ社が製造・販売を行うミノキシジルジェネリックです。
外用薬ロゲインの後発医薬品として世に出たものです。
ミノキシジルの配合量が2%、5%、10%という3種類の製品があるのが特徴です。
AGAの程度や体質に合わせて選びやすいのが大きな特徴といえます。
フォリックス
フォリックスはアメリカのサファイアヘルスケア社が製造・販売を行っているロゲインジェネリックです。
フォリクスの特徴として、ラインナップの多さがあります。
「FR02」に始まり、「FR05」「FR07」「FR12」「FR15」「FR16」と6種類の製品が存在しています。
それぞれの数字は、配合するミノキシジルの量を表すもの。
各製品のミノキシジル含有量は、2%、5%、7%、12%、15%、16%となっています。
カークランド
カークランドはミノキシジル外用薬で、製造・販売を手がけるのはカークランドシグネチャーです。
日本国内にも店舗を構える大型スーパー「コストコ」のプライベートブランドです。
大手スーパーのプライベートブランドという信頼できるところが手がけているミノキシジル外用薬であるというのが、カークランドの最大の特徴であるといえるでしょう。
安心できるジェネリックを選びたいという方にオススメです。
ノキシジル
ノキシジルはタイのTOファーマ社が製造するロニテンのジェネリックです。
外用薬と比較し高い発毛効果を得られるのがポイントです。
また、ノキシジルは1箱100錠入りの製品が低価格で販売されているため、数あるミノキシジルタブレットの中でも少ない出費で優れた育毛効果を得ることができます。
しかし内服薬である以上、使用時には副作用などのリスクがあることを把握し、対策をとった上で服用を開始する必要があるため、注意するようにしましょう。
ミノクソール
ミノクソールはインドのスマートメディサイエンス社が製造するミノキシジルタブレットです。
スマートメディサイエンス社は日本人スタッフが製品の監修を行っている製薬会社として知られています。
製造する製品の中には、日本人向けに作られている物が多くあるのが特徴です。
ミノクソールも日本人向けに製造されたミノキシジルタブレットで、商品パッケージが日本語で表記されているという特徴があります。
また、販売価格も低価格に設定されているため、ミノキシジルタブレットを用いたAGA治療を始めやすいというのも特徴といえます。
ミノキシジルの作用機序
ミノキシジルは、もともとは高血圧の治療をするための降圧剤として開発が進められていた薬効成分です。
高血圧とは、血管の収縮によって血液が内側から血管を圧迫する力=血圧が高くなってしまうことです。
降圧剤=血圧を低くする効果があるミノキシジルは、これを解消する働きがあると期待されていました。
具体的には、ミノキシジルは血管を拡張することによって降圧剤としての働きを担います。
血管が拡張するとその分だけ血圧が下がり、高血圧が解消されるわけです。
一方、血管が拡張するということは、その分だけ血管に余裕ができてより多くの血液を流すことができるようになる、ということも意味しています。
血液は全身を巡ることで各器官に酸素や栄養素を届ける働きがありますが、これが頭皮に対してプラスに働きます。
AGAを発症している頭皮は、毛細血管が細くなって栄養量が減り、さらに毛根の毛包や毛母細胞がダメージを受けて髪の毛の成長サイクルが乱れた状況にあります。
ここでミノキシジルを投与すると、毛細血管が拡張してその分だけたくさんの血液が頭皮全体に行きわたることになります。
結果的に毛母細胞や毛包の働きが活発になります。
毛母細胞は積極的に細胞分裂を行い、毛包はたっぷりの栄養素を得て髪を育てます。
こうして、ミノキシジルによってAGAが解消されるのです。
ミノキシジルの併用禁忌薬
ミノキシジルの併用禁忌薬(一緒に摂取すると危険性がある薬)としては、血管拡張・血行促進効果を持つ薬が挙げられると考えられます。
たとえば、バイアグラはその一つになります。
男性の薄毛と並ぶ悩みごとED(勃起不全)を解消できる薬ですが、これには下半身の血管拡張・血行促進をサポートする働きがあります。
この働きとミノキシジルの働きが同時に体内で起こったとき、血管拡張が余計に行われて血圧が下がりすぎてしまうのです。
バイアグラを飲んでいるとき、特にミノキシジルの含有量が多いミノキシジルタブレットは、使用しないようにしてください。
その他、頭部の毛細血管を収縮して片頭痛を静める効果があるイミグラン(スマトリプタン)なども併用しないほうが良いといわれています。
ミノキシジルの血管拡張効果とスマトリプタンの血管縮小効果がぶつかり合って互いに効果が減少したり、血圧のコントロールがうまくできなくなってしまう危険性があります。
ミノキシジルの併用注意薬
ミノキシジルの併用注意薬(併用に当たっては注意すべき医薬品)としては、正式にアナウンスされているわけではありませんが以下のようなものが考えられます。
・その他の育毛剤
特にロゲインやリアップ、またそのジェネリックといった外用薬を使用する際には、ほかの育毛剤と一緒に使わないようにしたほうが良いといえます。
いろんな種類の薬を使えばその分だけ効果がアップしそう、相乗効果でスピーディに髪が生えそう……などと思ってしまいがちですが、実は逆にミノキシジルの吸収がうまくいかなくなる可能性があるとされています。
ミノキシジルを使用する際は、「これ1本でやってみる」という姿勢でAGA治療に臨んだほうが良いでしょう。
・アルコール
厳密には「医薬品」ではありませんが、アルコールは併用に気をつけたいもののひとつです。
たとえばロゲインを塗ったすぐ後にお酒を飲む、ロニテンなどのミノキシジルタブレットを飲んだあとにお酒を飲む、といったことをするとミノキシジルの血圧を下げる効果とアルコールによる血圧を下げる効果が同時に働き、体調を崩してしまう可能性があります。
ちなみに、アルコールにはAGAの原因になる物質DHT(ジヒドロテストステロン)を増加させる働きがあるともいわれています。
その意味でも、注意すべきといえるでしょう。